2009-10-22

踊っていて,読んでいて

最近は山田詠美ばっかり読んでいる。

芥川龍之介以来の僕の大ブーム作家になった。

なんだか選評を見ていると山田詠美だけはダメって人がいるみたいなんだけど

うーん。そんなにくせが強いとは思わないからちょっと不思議。

僕は音楽でも本でも気がつけば男性のものがずっと好きだった。

「源氏物語」以来じゃないのかな。

変な嗜好とかじゃなく,本当に気がつけばそうなっていたのである。

ふーん,女の人ってこう考えてるんだって,

観たことない世界を覗いたような感覚が面白い。

いや,山田詠美さんが書いてることが絶対女性が考えてること全般じゃないんだろうけど

何でだろう,なんかひきつけられるものがある。

「こうだったら良いなー」なのかもしれない。

いや,女性男性うんぬんよりももっと単純なところなのかもしれない。

もう快楽があるんだからしょうがないから言い訳するのやめようよって言うか,

いちいち人のせいにしてないで自分が欲しいもんとか嗅いでる臭いとか目に映ってるものを

抱きしめて慈しんでるほうが楽しいんじゃないかみたいなそんなことを言ってる気がしてるのだ。

考えることでどうにかこうにか生きていた人は頭でっかちにどんどんなっていく。

で,考えれば考えるほど「考えても無駄なんじゃないか」って言うのが頭をよぎって,

でももう何も考えないで生活してた頃の純粋さには戻れないと気付いてしまう。

赤ん坊の時のように四肢を全て全く違う方向に動かせる身体をもう失っている。

花や茂みを見てただ手を伸ばして嬌声を上げる回路を失っている。

何かを目指して離れたスタート地点が実は目的地だったことに気付いて

戻り方をまた一から探しているのかもしれない。

でもそれは前進なので。


そんなことを思うのも,ワークショップを輝く未来でやっていて

初心者の方が経験者より良い動きをすることが多い。

それは良い動きと言うか,まったくダンス経験者には予想もつかないことをするということだ。

色々な不純物が混ざっていない,だから作為も無い,それは人を惹きつける第一条件だ。

でも,やっぱり鍛えて鍛えて鍛えぬいたプロダンサーが生み出す「予想外」は

初心者のそれよりもはるかに素晴らしい。

美しさには二種類あって(誰が言ってたか忘れた)

誰にも何にも犯されること無く純粋であり続けた末の美しさと,

傷ついて壊されて汚れて磨きぬいた先にある美しさの二つ。

もう帰り道を忘れてしまったやつは潔く前を向いて

汚れきるほうを選んだほうが良いと最近思う。

1 件のコメント:

szk さんのコメント...

こんにちは。

ぼくは勉強ができない、とか好きだなー
初期のも読んだけど。
私も芥川にハマった後山田詠美にハマった記憶があります。

人間の欲とか、ずるいとことか、ドロドロした感じの表現にするんじゃなくて潔く描いてるとこが好き。



スズキでした。